ロッタのはなし②

最初に異変に気づいたのは母だった。
「ねえ。ロッタの歩き方、おかしくない?」
後ろ足を引きずっているかんじだった。
なんだか元気もないみたい。

ロッタは元気いっぱいのおてんばな女の子だったから
どこかにぶつけてひねったのかもしれないね。と軽い気持ちで病院へ連れて行った。
(今、ミモが通っている病院とは別の病院です)
診断の結果、やはりどこかにぶつけたんじゃないかといわれた。
元気がないのは動物の本能で安静にしているのであって、
すぐ治ると言われた。

でも、1週間たっても、よくなる気配はなかった。
再度、病院へ連れて行った。

診察をする獣医さんの表情がみるみる厳しいものになっていった。
「これはまずいぞ。」
そうつぶやいたのがはっきり聞こえた。

リンパ腫だった。

え?何?なんで?
意味わかんないよ。すぐ治るっていったじゃん。
ショックだった。
なんでロッタなの。ロッタが何か悪いことした?
他の猫がなればいいじゃん。(ひどいんだけどそのときはこういう風にしか考えられなかったの)
あたしのロッタをとらないで。
帰りの車の中でキャリーバックをかかえたまま
あたしはあふれる涙をとめることができなかった。


治療をどうするか考えなくてはならなくなった。
化学治療という選択肢もあったのだけど
ロッタの負担を考えてどうしてもそれは選べなかった。
人間だって辛いその治療を小さい猫が受けるダメージは
かなりのものだと想像できた。
先生に任せることにした。
それしかないと思っていた。

1週間の入院から抗癌治療がはじまった。
1週間後、久しぶりに会ったロッタはガリガリに痩せていた。
もともと小さいこだったのだけどさらに小さくなっていた。

毎日、薬を飲ませなくてはならなくなった。
ロッタはそれを嫌がった。
弱った身体で必死になって抵抗するロッタを
2人で押さえて飲ませた。無理やりだった。
薬を飲ませなきゃ治らないと思っていたから。
飲ませれば、治ると信じていたから。

薬の副作用はすぐにあらわれた。
ロッタはシャム系の雑種で空色の瞳がチャームポイントだった。
ビー玉みたいな瞳があたしも大好きだった。
小学生の頃、男子がまぶたをひっくりかえして遊んでなかった?(あたしの友達だけかな)
そんな感じになってしまった。
もう、ロッタの中の青空をみることはできなくなってしまった。
すぐに獣医さんに電話をした。
明らかに薬のせいなのにわからないというだけだった。
先生は猫のリンパ腫を看るのははじめてだった。
何もわかっていなかったのかもしれない。
もう、続けても苦しませるだけだと思った。
気づいた時はもう遅すぎた。
そして、薬を飲ませるのをやめた。

治療を決めてから、ロッタの前では泣かないと決めた。
あたしが泣けば不安になると思ったから。
でも毎日、ロッタのいないところで泣いていた。
日に日に弱っていくロッタをみるのが辛かった。
ロッタを失うのが怖かった。
大丈夫だからね。いつもこういって励ました。
でも、それはあたしが自分をそういって励ましていたのかもしれない。

ある日、思わずがまんできなくなって、ロッタの前で泣いてしまったことがあった。
ロッタはふらふらになりながらあたしのそばに歩いてきて
ゴロゴロいいながら顔を舐めてくれた。もう、起き上がるのだってやっとのはずなのに。
そういう猫だった。優しいこだった。

いつもあたしの部屋で一緒に眠っていたのだけど
病気になって以来、ロッタはそれを拒んだ。
毎日、リビングのソファーので眠っていた。
リビングで一緒に眠ることは出来なかった。
体をこわして、仕事を休めなかった。
どうして、そのとき一緒にいてあげなかったんだろうって後から何度も思った。
心配で心配で夜中に何度も起きては様子をみに行った。
ロッタが病気になってから、あたしはちゃんと眠ることができなくなっていた。

その日はなぜか一緒に寝ようと思った。
寒さの残る3月で、まだだしっぱなしのおこたにもぐって
2人で眠った。幸せだった。
呼吸は乱れていて荒かったけど一生懸命生きていた。
久しぶりに感じるロッタのぬくもりが嬉しかった。
左手でロッタのからだをさすりながら
大丈夫だからね。といいながら眠った。
隣にロッタがいてくれたことで
あたしも久しぶりによく眠ることができた。

朝になって
ロッタは動かなくなっていた。
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by mina-mimo | 2007-03-15 10:07 | こころとからだ


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